全国の杉工場ファンの皆様、大変お待たせしました!杉工場の2018年度の学習机デジタルカタログは8月21日には公開されていましたが、話題性の高い大手メーカーを優先してしまってレポートが遅くなりました。
2017年度は新作デスクの発表がなかった杉工場。しかし、2018年度は一気に3モデルも追加。しかも、いずれも力作揃いです!
明治時代を彷彿とさせるデザイン?「1900」
杉工場の2018学習机カタログのトップを飾ったのは新作の「1900」です。杉工場は明治19年(1886年)創業ですから、1900年は創業から14年ということになります。
これは1900年当時に実際に発売されたデスクのデザインなんでしょうか?まさか、イトーキの「1962」にガチでケンカ売りに行ったわけではないと思うのですが(笑)
ともあれ、1900が何を意味するのかは分かりませんけど、昭和以前のレトロなデザインのデスクということで間違いなさそうです。引出しには真鍮の取っ手が付いており、さらにレトロ感を引き立てています。
1900は単にレトロなデザインというだけでなく、もうひとつ注目すべきところがあります。それは、国産のナラ材を使っているということです。
国産のナラ材は大変貴重です。学習机メーカーでは、一部でカリモク家具が使っているだけではないでしょうか。希少性があるため少し節が入ったものを使っているようですが、オイル塗装でも硬くてキズつきにくくて良いのではないでしょうか。
1900はデザインの好みと幅85×奥行65cmというサイズ感がちょっと難しいところですけど、個人的には面白い試みだと思います。
戸棚調でレトロ&モダンな「ファミリア」
お次はまるで戸棚を彷彿とさせる、これも新作の「Famillia(ファミリア)」です。ライティングデスクもしくはライティングビューローと呼ぶのが正しいかもしれませんが、パッと見た感じはレトロというかモダンというか、戸棚という印象です。
正直言って、これは最初、「大丈夫か?」と思いました。子供がデスク天板に体重を乗せたときに倒れる可能性があると感じたためです。また、価格が高すぎるとも思いました。
まだ実物を見ていないので実際のところどうかは分かりませんが、全体のデザインと言い、スチール製の脚と言い、こちらも挑戦的なデザインで興味深い存在です。同じシリーズのドロワートレイも値段は高いですが、スチールの外箱にアガチスの内箱を収めた無印良品的な雰囲気が素敵ですね。
なお、ファミリアの天板はメープルまたはウォールナットの突板でオイル塗装仕上げとなっています。
線が細い!レッドオーク!「セノヴィ」
新作デスクの3つ目は「セノヴィ」です。ある意味、私が一番驚いたのはこのセノヴィです。
脚の線がすごく細い!これで本当にグラつきが出ないものなのでしょうか?でも、杉工場だったらたぶん大丈夫なのかなとも思います。いま私がもっとも実物を確認したいデスクですね。
この新作デスクも杉工場が今まで扱っていなかったレッドオーク(天板は突板)を使っており、その点でも注目です。
セノヴィはシェルフの前にデスクを置いて使うことができる、いわゆる組み替え式デスクのスタイルをチョイスすることができますが、その場合の奥行は81cmにもなります。また、その場合のデスク+ワゴン+シェルフのセット価格は税込178,200円と非常に高価です。
1900、ファミリア、セノヴィの3台の新作デスクはいずれも非常に魅力的なデザインですけど、普通に考えるとちょっと売れる値段とは思えないですね。あくまでコンセプトモデル的な位置付けではないかと思います。
やはりコンセプト重視と見られる無塗装のアルベロも、2018年度のカタログからはワゴンや大きな上棚が消えています。消費者に対してメーカーとしてのビジョンを示すには有効ですが、それ単体でビジネスとして成立させるのはなかなか難しいようです。
でも、売れるかどうかはともかくとして、杉工場の学習机は本当に美人揃いになってきましたね。学習机市場で美人コンテストをやったら3本指に入るんじゃないでしょうか。
こんな風にしてブランドイメージと価格が上がっていけば理想的だと思います。杉工場の今後についてはますます楽しみですねー。
なお、2018年度の杉工場の学習机は2017年度と比べて基本的には価格の変動はありません。ただし、アクシス2、クオーレ、ポルテのリフティングワゴンのタイプだけでは1~2%程度価格が上がっています。
学習机市場全体でリフティングワゴンが減ってきているので、リフティング金具の仕入れコストが上がっているのかもしれませんね。
コメント 皆様からご質問・ご意見など
杉工場のクッカの
ワゴンなしシェルフありか
クッカのワゴンありシェルフなしで迷っていてこちらにたどり着きました。
過去記事も拝見し、カリモクや浜本工芸にしたいのはやまやまですが、スポンサーがおらず、厳しいです。。。
やはり杉工場は避けた方がいいのでしょつか、よろしくお願いいたします。
机悩んでますさま
はじめまして^^
杉工場は避けた方が良いか…これは簡単そうで実に奥が深い質問だと思います。
デザインは好みの話になるのでこれはいったん横に置いておくとして、杉工場を選ぶ主なメリットは国産であること、主なデメリットはオイル塗装であることだと言えます。
日本では国産信仰が強く、それに国産家具メーカーも助けられている側面がありますが、近年は中国製の品質が高くなってきており、下手な国産を上回ることすらあります。
杉工場レベルであればもちろん中国製に劣ることはないものの、価格を考えると品質が高いことは当然と言えるでしょう。
また、いくら丁寧に作られていてもオイル塗装ではキズや汚れが付きやすくなってしまいます。
オイル塗装は木の風合いが良いということは分かりますが、子供が使うに最適であるとは言い難いと感じます。
国産でもオイル塗装ではなくウレタン塗装の手頃な価格のものがあれば…とは私も思うのですが、価格がポンと跳ね上がってカリモク家具や浜本工芸、飛騨産業、小島工芸になってしまうんですよね。
決してブランド家具だから価格が高いというわけではなく、オイル塗装にすればそれほど価格を下げることができるという証左かと思います。
あくまで私個人の考えですが、カリモク家具や浜本工芸や飛騨産業は別格として、学習机を選ぶにあたり国産であるかどうかは重要なファクターとは思えません。
また、大手4メーカー(コイズミファニテック、イトーキ、カリモク家具、浜本工芸)がオイル塗装を一切採用しないことから、そこは推して図るべしかなと考えています。
ただし、杉工場のクッカのデザインはやはり素晴らしい!
そこだけが非常に悩ましいところではあります^^;
突然のコメントにも丁寧にお答えいただき、ありがとうございます!!
リビングに置くことを考えるとリビングの家具の大抵のものがクッカ的シンプルかつ木製(だいぶ赤っぽくなってきてますが)なので惹かれていましたがやはり子供用としての耐久性は…なのですね
オイル塗装が家具ではシンプルでむしろいいとすら思い込んでいたので、無知が怖いです…。
Benesseのコラボ品も高いですし、値段のお手頃な堀田木工さんは変わった塗装がされているとお聞きしましたが、似たり寄ったりですよね…。
同じくらいのお値段は難しくとも、もう少しのプラスくらいで何か無いかともう少し探してみようかと思います…。
大塚さんとのコラボ品も見てみたいですが近くに店舗がなく、残念です…
またブログで色々と勉強させてください!
連投失礼します。
価格的にもデザイン的にもご紹介されていたtokkuは好きなのでいいな、と思いますが実物が拝見できないのが残念です…
杉工場と堀田木工所の同じアルダーでも見た目が全然違うように感じたのでやはりネットのみで購入は少し怖いので…。
ダイニングテーブルが傷に弱く、メンテナンスにアクアス購入のオイルを塗るのも乾くのに時間がかかる…ということでなかなか出来ずにいますのでやはり机はウレタン塗装で検討しようかと思います。
机悩んでますさま
国産家具でもコストを抑えようと思えば、オイル塗装という方法は決して悪くないと思います。
オイルならコストが安いですし、設備も必要なく、何より手間と時間を大幅に少なくできますからね。
一方でウレタン塗装にするとその逆で、コストは高い、設備は必要、手間も時間も掛かりますから、一気に価格が跳ね上がります。
そういう事情もあって私としてはカリモク家具や浜本工芸はもちろん素晴らしいけれども、ない袖は振れないのだからコイズミファニテックやイトーキでも構わないじゃないかというスタンスなのです。
オイル仕上げのダイニングテーブルのメンテナンスに困っているということでしたら、学習机でも同じことになることは想像に難くないでしょう。
これがオークやナラなどの硬い木ならともかく、アルダーのように比較的軟らかい木であればなおさらです。
もちろん、私もオイル仕上げの良さは理解しているつもりですので、そのメリットとデメリットを理解されている方に対しては余計なことは申し上げません。
ただ、自分で補修したこともない販売員が「オイル塗装なら自分で修理することもできます」などと言って販売するのが許せないのです。
コイズミファニテック×ファニチャードームのTOKKUもそうですけど、やはり木製家具は自分の目でしっかり確認したうえで買っていただくのが一番ですね。
机悩んでますさんのお眼鏡に適うものが見つかることを祈っております^^
ありがとうございます!
こちらのブログで紹介されているものの中で実物を見ることができるものが少ないのですが、まだもう少し悩みたいと思います。
今のままだとリビングもリビング、キッチン近くにしか置けず、キッチンからやダイニングでの焼き肉など、机に油もついちゃいそうなので配置もちょっと考えたいと思います。
また、最後に、ひとつおたずねがあります!
メーカー問わず、
ワゴンよりシェルフ派だったのですが、
シェルフはどうやっても足りなくなって本棚買い増しが必要なのでは?と疑問を感じるようになりました。
さらにこちらのブログを拝見し、また、お子様の机を拝見し、…、
やはりシェルフよりワゴンの方がいるのでは…と思いました。
シェルフがわりに大きなラックでもいいな、と思いました。
(片付けは得意なほうだと思います)
が、やはりシェルフがあったほうが、もしくは三点セットがいいのでしょうか??
何度も申し訳ないのですが、
どうぞよろしくお願いいたします。
机悩んでますさま
収納のプロとしての見地から申しますと、片づけが難しいのはやはり小物です。
シェルフに小物を収納する場合、最適な大きさの箱を見つけてきてそこに収納する必要があり、またホコリが侵入しやすいというデメリットもあります。
大人が職場でも「引出しがもっと欲しい!」と言うことが多いことを踏まえると、子供にとっても引出しは多いほうが片づけやすいだろうと思います。
一般的にはデスク下にワゴンが収まるためスペースの問題はなく、予算の問題さえなければワゴンはご用意いただくことをオススメします。
シェルフについては、教科書やファイルを収納する場合は奥行30cm程度、ランドセルや書道セットなどを収納するなら奥行35cm以上をオススメします。
幅については、学用品のみであれば60cm程度でも足りるかもしれませんが、児童書や趣味のモノなども含めて子供にとって居心地の良い場所を目指すなら90cm程度欲しいところです。
ただ、ダイニングに近い場所でデスクと90cm幅のシェルフを置くというのは、一般的には難しいでしょう。
その場合は、子供部屋と2ヶ所に分散して収納することを前提に考えてもらったほうが良いと思います。
【参考】リビング?子供部屋?学習スタイルと収納レイアウトから考える学習家具の選び方
何度も丁寧にご回答いただきありがとうございました!
当初の予定を変更し、ワゴン購入の方向で行きます!
シェルフは当面の間同じスペースで使うことはなさそうなのでやはり別売りの大人のものも上段におけるような大きいものにします。
奥行きについてもありがとうございます!
デスクと同シリーズのシェルフは割と奥に付けることを前提にだと思いますが、幅は大きく奥行きは浅く、を見かけていたので気になっていましたがアドバイスをいただいてスッキリしました!
ランドセルより長く使う、という記事も意外と頭になかった!と目から鱗でした。
もう少しあがきます。
ありがとうございました。
机悩んでますさま
そうですね、リビングダイニングは限られたスペースなので、書棚などは高層化させたほうが親のモノなども含めてスッキリ収めやすくて良いと思います。
お子さんが成長すれば、子供部屋に机を移動させても同様に高さ空間を有効利用して収納できるでしょう。
学童保育を利用したり塾に通うようになると、それほど自宅で勉強する機会は多くないと思います。
一方で、通信教育を受講したり塾に通うと教材がものすごく多くなります。
そういうことも考えだすとキリがありませんが、お子さんの近い将来に思いを巡らせながら学習机選びを楽しんでいただければと思います^^