子供にリビングダイニングで学習させるからと言って、必ずしもリビングダイニングに学習用のデスクを置く必要はありません。しかしながら、ダイニングテーブルで学習させると消しゴムかすが出たり、食事の準備の邪魔になるといった問題も出てくるので、「やっぱり別に学習用のデスクがあれば…」と感じることもあろうかと思います。
とはいえ、新たにデスクを置こうと思えばスペースが必要になります。一般的に狭いと言われる日本の住宅では、そのためのスペースを捻出するのは簡単ではありません。
また、スペースはあってもデスクを置けば圧迫感が出てしまうという心配もあるでしょう。いくらコンパクトなデスクを置いたところで、少なからず圧迫感は出てしまうからです。
Sense of Fun「棚プラス」
出典:SOF
そんなときは「Sense of Fun(SOF)」の「棚プラス」が解決のヒントに繋がるかもしれません。
SOFは東京・東久留米を拠点に活動する1990年代生まれの若手クリエイター集団。そしてそこで生まれた棚プラスは、石膏ボード壁に引っ掛ける額のような形状の、折り畳み式の棚またはデスクです。
これならデスクを置くスペースを必要とせず、圧迫感を感じる心配もありません。壁に引っ掛けるタイプだけでなく、片引き戸そのものにビルトインされた関連商品もあるようです。
ただし学習用として最適とは言えない
棚プラスは決して「リビング学習用に」と言っているわけではありません。もちろんそれは重々承知したうえで、考え方としては私は学習用としても良いと思うのですが、学習用云々を抜きにしてもちょっと未熟と感じるところがいくつかあるのです。
- 耐荷重性能に疑問あり
- 引っ掛け構造のため落下の危険性あり
- 天板サイズが592×392mmと小さい
- 価格が高い
- 石膏ボード壁用とは言い難い
耐荷重性能に疑問あり
石膏ボード壁に重量物を掛ける場合、耐荷重の目安は10kg程度とされるのが一般的です。ノートパソコンを置いて操作したり、ちょっと物を書くくらいなら問題ありませんが、子供が使うと体重を乗せがちですので危険です。
引っ掛け構造のため落下の危険性あり
ディテール写真を見る限り、棚プラスは壁に引っ掛けるだけの構造です。そのため、デスク天板下側から力が加わると落下する危険性があります。そのため、小学生はもちろん、乳幼児が近づくと危険です。
天板サイズが592×392mmと小さい
棚プラスの天板サイズはもっとも奥行が大きいタイプでも592×392mmです。計算ドリルとノートを開いて使うくらいなら問題ないサイズですが、やはりちょっと物足りないと感じることが多いでしょう。
価格が高い
棚プラスは天板サイズが592×392mmのタイプで税込42,120円となっています。表面材がメラミン化粧板というのはデスクとして使うのに耐久性の心配がないものの、国産学習机のワゴンが買えてしまうそうな値段であることを考えると、割高感は否めません。
石膏ボード壁用とは言い難い
棚プラスは石膏ボード壁に取り付けできることをひとつの売りにしていますが、実際はアンカーを用いてネジで固定する構造です。アンカーを用いると大きめの穴を壁に開ける必要があるため、石膏ボード壁用とは言い難いと思います。
以上、ネガティブなことを申し上げましたが、私は棚プラスの考え方自体はすごく良いと思っています。引っ掛けタイプではなく片引き戸にビルトインされたタイプなら、設置は容易とは言えませんが、上に挙げたような問題はほとんどクリアできます。
また、新築やリフォームの際に棚プラスのようなものを壁に埋め込んだり、下地があるところに棚プラスのようなものを取り付ければ良いとも言えるでしょう。
そんなわけで、「デスクを“置く”から“掛ける”で空間に有効スペースをつくり出す」という発想自体は、多様化するライフスタイルに合わせたひとつの形として、検討する余地があるのではないでしょうか。
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