2021年度のオカムラの学習机カタログがなかなか発行されなくて、もう今年度の発行はないのだろうと思っていました。近年のオカムラの学習机市場におけるシェアを見ると新作の発表はなさそうだし、コロナ禍の中でリスクを取るよりももっと合理的なことにリソースを割くだろうと考えたからです。
ところが、私の予測に反して、ひっそりと新しいカタログを発行しました。
オカムラ・ホームインテリアファニチャー2021

※オカムラHPスクリーンショット
ただ、タイトルや内容がかなり変わっています。2019年度までは「STUDY DESK」というタイトルだったのが2020年度には「HOME&STUDY DESK」となり、2021年度は「Home Interior Furniture」に。中身のほうもテレワーク用のコンパクトデスクがメインで学習机も掲載されているという体裁です。
アルコとウーゴが廃番に
カタログの総ページ数はほぼ維持されているため、学習机を掲載しているページはかなり圧縮されています。しかし、ただ圧縮されているわけではありません。オカムラの得意とした天板昇降式デスク「ウーゴ」のほか、天板昇降デスクの次を担うと期待された広さ調節タイプの「アルコ」(上写真)もカタログから消えました。
トップバッターは「ヴィヴァン」
学習机の新作はありませんが、代わりにテレワークを主眼としたデスクの開発には意欲的です。新商品の「ヴィヴァン」は学校で使うデスクをモダンにアレンジしたようなデザインのスチール製コンパクトデスクです。
子供が消しゴムでゴシゴシすると揺れそうですけど、親がノートパソコンを開く用途であれば十分だし、スタイリッシュで良いと思います。
ゲーム専用「ストライカー」
テレワークにターゲットする一方で、もうひとつ力を入れているのがゲーミングチェアとデスクです。新商品の「ストライカー」は主にチェア、デスクがそれぞれ2モデル、デスクサイドシェルフ1モデルで構成されています。
オフィス家具メーカーであるオカムラがゲーマーをターゲットするというところに違和感を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、既にイトーキも参入していますし、デスクは天板昇降式を採用しているなどオカムラらしさもあります。
若手の会社員ゲーマーのほか、学習机には興味が持てないゲーマー少年もターゲットできるので、個人的にはまだまだ伸びしろのある領域だと思います。
「ソリスト」にも注目
あと、カタログには載っていませんが、個人的には先に発売された「ソリスト」は良いなーと思っています。天板サイズとカラーなどを自由にカスタムオーダーできる次世代の事務机です。
ソリストは台形天板や高さ1000mmのハイタイプも選べますし、かばんフックやマルチコンセントなどのオプションパーツを組み合わせることもできます。1000×600mmのオールホワイトのデスクも実現可能なので、白くてシンプルな机を探している人にとっても魅力的かもしれません。
以上の通り、オカムラは学習机から一歩身を引いてテレワークをターゲットすることにより、学習机という呪縛から解き放たれたように感じます。もはや学習机売場にはオカムラの居場所がなかったわけですから、個人的には良い方向性を見出したと思います。
あとはこれをどうやって消費者に訴求していくかですよね。既に木工家具メーカーとオフィス家具メーカーが入り乱れるレッドオーシャンですし、そもそも非テレワークの人も多いのですからそんなに大きな市場とも思えません。
実物を見てもらうにはやっぱり家具店だと思うので、期間限定で展示スペースを設けるなどすることも必要でしょう。そうなってくるとマンパワーが必要です。それができていれば学習机売場でもここまでシェアを落とさなかったと思いますが、今さら嘆いても仕方のないこと。せっかく見出した方向性で頑張って欲しいと思います。
学習机は「クオーレ」さえ継続してくれれば個人的にはOKですよ(笑)
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