大阪の阪神高速池田線を走っていると、「お~いオカムラくん♪」と書かれた看板を見ることができます。名神高速と交わる豊中ジャンクションの少し南側ですね。池田線を北上しているときは豊中南出口への流出に気を取られて気付かないことが多いのですが、南進しているときはこのあたりで渋滞に巻き込まれることが多いので割りとよく目に入ります。
この看板は言わずと知れた岡村製作所のものです。「お~いオカムラくん♪」っていうフレーズは以前にもブログで書きましたが、実は関西ローカルのテレビCMだったそうで、「お~いオカムラくん♪」って言っても関西でしか通じないそうです。もう何年も見ているのに、ぜんぜん知りませんでしたー。
ともあれ、そんな風に大阪人にも親しまれている岡村製作所は、横浜市に本社を置くオフィス家具メーカーです。連結売上高は直近で約2,368億円となっており、オフィス家具メーカーとしてはコクヨに次ぐ業界第2位の規模を誇ります。ちなみに、イトーキはその約半分、学習机最大手のコイズミファニテックは1/20にも満たないというのですから、実に圧倒的な規模と言えます。
今年の6月には長年親しまれてきた「株式会社岡村製作所」から、2018年4月1日を以って「株式会社オカムラ」に社名を改めることを発表しました。社名だけではなく、学習机も「脱ピエルナ」が加速し、新たな時代を迎えようとしています。
オカムラ2018年度学習机の顔は「アルコ」
思いもかけず、今年はオカムラの学習机カタログが例年よりも早く手に入りました。昨年度はコンパクトサイズになり、内容もまるでイメージブックのような感じで見にくかったんですが、今年度は元のA4サイズに戻ったうえに内容的にも見やすくなって良いと思います。
さて、2018年度のオカムラの学習机カタログの表紙を飾るのは、新商品の「Arco(アルコ)」です。アルコは奥行が55cmで、幅が103cmから最大160cmまで拡張できることが大きな特徴になっています。
誰がどう見てもコイズミファニテックのスタディアップデスクに似たギミックと言えるかと思いますが、アルコの場合はそれよりもシンプルにまとまっている印象ですね。レイアウトもスタディアップデスクの10パターンに対してアルコは5パターンに限られ、しかも基本的にはただ横方向に拡張するだけです。
ちなみに価格は2017/09/01現在、楽天市場で税込75,910円からとなっています。それに対して、雰囲気の似ているコイズミファニテックの「アルフ」は同じく80,900円から。アルコはデスクライトが別売、対してアルフはデスクライト付属、その他諸々の仕様を比較しても、アルコは初戦から厳しい戦いを迫られそうです。
それにしても、アルコとアルフを比較していると、ついつい途中で間違って「アレフ」と書いてしまいます(苦笑)アルコとアルフ。アルコとアルフ。アルコとアレフ。アルクとアレフ。あれ?「コ」と「フ」が違うだけなのに、不思議ですねー。
ピエルナ・スタックの再来!?「ウーゴ」
天板昇降式デスクの「ピエルナ」推しが行き詰ったオカムラは、2016年度に「テヌート」、2017年度は「ノベル」と「ソラノ・プリティア」に広さ調節タイプを投入しました。そして、前述の通り今年度はアルコを投入というわけで、高さ調節タイプと広さ調節タイプの2本立てという様相が鮮明になっています。このあたりは、ベネッセ&カリモク家具の「学びデスク」と同じ流れですね。
オカムラが「脱ピエルナ」を進めていることは商品名を見ても明らかです。2018年度のもうひとつの新型デスク「Ugo(ウーゴ)」(上写真)は、ピエルナと同じく天板昇降式デスクで、その上に横に並べて使うこともできる本棚をガツンと乗せたスタイル。これは2016年度まで存在した「ピエルナ・スタック」と同じ構造と言えます。
ウーゴとピエルナ・スタックはデザインこそ若干異なりますが、普通に考えればオカムラの学習机の代名詞であるピエルナを冠して「ピエルナ・スタック2」でも良かったはずです。しかし、それは敢えてせずに「脱ピエルナ」の姿勢を鮮明にしたかったのではないかと思います。
ともあれ、ピエルナ・スタック譲りのウーゴの本棚の荒っぽくも見えるギミックは、個人的には好きですねー(笑)アルコよりも実にオカムラらしいと思います。
ちなみに、天板昇降式デスクの人気がなくなってきて、代わりに奥行が浅いデスクに注目が集まっている原因は、私が天板昇降式デスクを否定的に捉えていたということもありますが、やはり引出しの数が少なくなってしまうことと、リビングダイニングに置く場合には奥行が浅いほうがレイアウトしやすいからと言えるでしょう。
ただ、もっと根本的なところで言えば、天板が昇降するメリットが感じられにくくなってきたことが大きかったのかもしれません。実際のところは子供の成長に合わせて天板の高さを変えられることはメリットではあるのですが、それよりも大人が使っても違和感のないデザインを備えたシンプルなデザインの机が求められる傾向にあるように思います。
そのほか、2018年度のオカムラは、コイズミファニテックの「Sラック」によく似たマルチラックも投入しています。基本的な構造はSラックと変わらず、側面にはイトーキの使い分けフックに似たフックも付いており、決して悪くないんじゃないかなと思いますが、こちらも価格やスペックで比較するとSラックに対して苦戦しそうです。
また、「ピエルナ・コンパクト」、「クリロ」&「カラン」を廃番にする一方で、リビングデスクの「lieuble(リュブレ)」、骨盤の後傾を抑える「イリウムサポートチェア」を投入するなど、2018年度のオカムラはラインアップを大幅に刷新したという印象です。
これで価格が2~3割安くて、引出しのスライドレールがスムーズで、引出し内部材が白塗りではなくファルカタになってくれれば、もっと学習机市場で存在感を示せると思うのですが、なかなか難しいところですねー。
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