イトーキ御乱心!?30万円以上するプレミアムデスク「1962」

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皆さんご存じだったでしょうか?イトーキが昨年12月に「1962」というプレミアムデスクを発売していたことを。

”1962年にイトーキが日本ではじめて作った子供専用の机を現在の価値に合うようリデザインしたモデル”だそうですが、その価格はなんと375,000円(+税)!いくら貴重なブラックウォールナット無垢とは言え、ちょっと子供に買ってやろうという金額ではありません。ちなみにカリモク家具のピュアナチュールのワゴンセットでも130,500円(+税)ですから、どれほど高いかは素人でも分かりやすいと思います。

近年、高級ポッキーやプレミアムうまい棒みたいなプチ贅沢商品が流行ってますが、イトーキもそれに便乗したのか?それとも、時価1億円以上もする純金や宝石をあしらった下着とか、そういうニュースが出ることがありますが、イトーキもそういうことをやりたかったのか?はたまた金持ちの家の高校生の買い替え需要を本気で狙っているのか?そんな風にいろいろと想像したものの、実物を見ないことには何とも言えない。しかしまだ大阪近郊では実物を見れる店舗がないため、イトーキに連絡をして特別に見せていただくことにしました。

 

いよいよ、イトーキ・1962とご対面!

2年前にお話を聞かせていただいたイトーキのN課長と、私と同い年であるというF係長にご案内いただき、1962の置かれている部屋に入ると、そこには新旧の1962が・・・!

新旧1962

 

はやる気持ちを抑えつつ、まずは1962年に発売された元祖・イトーキジュニアデスク(上写真左)を見ていこう。ちなみにこちらはイトーキの社員の方が実際に使用していたものだそうです。

イトーキジュニアデスクの天板

天板はいわゆるデコラ(メラミン化粧板)貼り。チークっぽい木目ですね。

 

天板前縁中央部のイトーキの旧ロゴ

天板縁の前側中央にはイトーキの旧ロゴが。すべて小文字なのですね。

 

高さ調整可能にする脚形状

脚はまるでメタルラックのよう。これで高さを調節できるようになっているんですが、日本初の学習机で既に高さ調節を考えていたなんてスゴイ!

 

持ち運び可能なスチール製の引出

この引出!私もこういうのを使ってました~(笑)でもこれはすごく良くできていて、引出を外して持ち運びしやすいように奥側にも持ち手となる穴が開いているんですね!

いやはや、私が生まれるよりも10年以上前のものなのにすごく懐かしい感じがするし、でもすごく良くできた机だったんですね!改めて日本で初めて学習机を作ったイトーキに感服しました!



そして、52年の時を経て進化した1962

さて、お次はいよいよ2014年末に発売された1962です。まずは天板から見ていきましょう。

収納マン:これ、触ってもいいんですか・・・?

N課長:どーぞ、どーぞ。

1962の天板

う、美しい・・・! (* ´艸`)

1962に使われているブラックウォールナットは、チーク、マホガニーと並んで世界三大銘木の一つに数えられており、アメリカ全土の広葉樹のうちの5%ほどしか自生していない貴重な木材。それだけでもスゴイことですが、それよりも私をうっとりとさせたのは、貴重なブラックウォールナットの質感をまったく損ねない美しすぎる塗装。カリモク家具のピュアオークのような風合いの、木材の表面の道管を完全にはふさがないセミオープン塗装なのです。しかも、半つや消し。

「うっわ・・・これ、めっちゃいいですやん~~!」そう言いながらニヤニヤ笑う収納マンのそのときの表情はきっと、スナックのおねえちゃんの膝の上に手を置いてニヤニヤするオッサンと変わらなかったに違いありません(笑)この時点で既に私は「30万円以上でもアリ」だと思ってしまいました。

 

下引出には1962年当時のイトーキのロゴが

下引出には1962年当時のイトーキのロゴが貼り付けられています。

 

1962の引出を開けた状態

引出を開けてみる。「おっ!軽い!でもレールは・・・!?」

 

引出底面に取り付けられたレール

スライドレールは引出の底面に取り付けられていたんですね!しかもこれはサイレント機能付きで、軽い力で音もなく引出が閉まるんですよ!これはコストが掛かってるなぁ。ちなみに引出内部材は桐材です(底板はシナ合板)。

 

天板の裏面には反り止めが入っていない

再びローアングル撮影。中央に見えるネジ穴は、袖引出を左側に取り付けるためのネジ穴ですね。つまり引出は左右どちら側にでも取り付けられるようになっているのです。

ちなみにこちら、本来、天板の裏面にあるべきものがありません。そう、反り止めが入っていないのです。こういうことをやるのは、木のことがまったく分かっていないド素人か、木のことを熟知しまくって反り止めなしでも問題ないくらいに完璧に製材されたものを使っている熟練の職人です。そして今回の場合は、価格を見ても、塗装を見ても、後者であることは間違いありません。

 

N課長:芝谷さん、ちょっとコレ見てもらえますか?

浮き彫りにされた持ち手部分

収納マン:ええっ!?これはまさか・・・?

N課長:そうなんです。これは取っ手部分を作って貼り付けたのではなくて、一枚の無垢板を削ってこの凸部分を浮き彫りにしてあるのです。

 

あり得ない!こんなの絶対にあり得ない!!

これ、ものすごいことなんですよ!この割り箸の半分にも満たない出っぱりのために残りの部分を全部削って捨てちゃってるわけですよ。それはつまりものすごく歩留まりが悪い(=材料コストに無駄が多い)ことで、普通の家具メーカーは絶対にやらないことなんです。

さらに、この出っぱりの部分だけを残して、ほかは全部完全にフラットにしてしまうという技術!これはスゴイ!こういうことができる職人さんはたぶん日本でもそうは多くないと思います。

天板を見ただけでもこの机が30万円以上するに値することは分かりましたが、この引出の取っ手部分を見せられたら・・・もう、ぐうの音も出ませんね(笑)

さすがは創業125周年を迎えたアニバーサリーモデルとしてイトーキが本気で作っただけのことはあります。見た目はすごくシンプルで、純金や宝石のような豪華さはないですが、贅を尽くした逸品と言って間違いないでしょう。ぶったまげましたよ、ほんとにもう・・・。

 

1962・・・なんでこんなスゴイものを作っちゃったの?

収納マン:今回拝見させていただいた1962はどういう経緯で作られたのでしょう?またその目的は?

N課長:私どもは各種媒体様から取材を受けることが多いのですが、弊社が学習机を日本で作ったメーカーであることを説明する際に当時のモデルの写真を見ていただくと、「これ、いま販売しても結構いけるんじゃないですか?」といったお声をいただくことが意外と多かったのです。そこで、弊社の創業125周年に合わせて当時のジュニアデスクを復刻させてはどうかという意見が出てきました。

ただ、1962年に発売されたそのままを復刻させるのはなかなか難しい部分がありましたし、それよりも私どもとしては当時学習机を開発した精神を引き継いで、今できる最高の学習机を作りたいと考えました。そしてその結果、1962が生まれたのです。

今回、1962を発売することによって、弊社が学習机を日本で初めて作り、学習机という文化を作ったということが、皆様に理解していただけるようなひとつのシンボルになればと思っています。また、単なる復刻版を作るのではなく、今できる最高の学習机を作ることによって、私どものモノづくりに懸ける想いが伝われば幸いと思っております。

 

いやはや、感服いたしました。この実物を見てもらえば、その想いはきっと通じるんじゃないですかね?

引き続き、次回は2015年度の学習机商戦の状況などについてお話をうかがっていきたいと思います!

イトーキメーカー2015学習机
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