イトーキは大阪市に本社を置く大手オフィス家具メーカーです。
学習机市場においては現在、コイズミファニテックと並ぶ二強ですが、イトーキは日本で初めて子供用の勉強机を作った、いわば学習机のパイオニアなのです。
しかし以前のイトーキの学習机は個人的には正直言ってパッとしませんでした。常に2番手に甘んじている印象で、これといった特徴がなかったように思います。
が、ここ数年のイトーキの勢いはスゴイです。高級学習机というニッチな市場は別として、マスの学習机市場はイトーキが快進撃を続け、他社がそれに追いつこうと必死なんじゃないかとさえ思うほどです。
もともと、イトーキはオフィス家具メーカーの割りには木の扱い方がうまいという点では個人的には評価していたのですが、ここ数年のイトーキの好調を支えているのはデザインに力を入れたことだと思います。それまで学習机メーカーはいずれも機能や材質の違いで高級モデルから普及モデルまでの商品を構成していましたが、イトーキはその常識を打ち破ってデザイン別に商品を構成し、他社もそれに追随する流れとなっています。
デザイン性を前面に打ち出した強烈なヒット商品はやはりこの2モデルでしょう。Leamo(リーモ)とCamomille(カモミール)です。
コイズミのLakeWood(レイクウッド)やOrlea(オルレア)だけでなく、ニトリなどにも似たデザインのものがありますよね。優れたデザインであることは言うまでもないですが、これらのヒットの秘訣は「お母さん目線」にあったと私は考えています。
学習机って言うと、どうしても「いかにも」なデザインになりがちじゃないですか。少なくとも以前はそういうものばかりだったと思います。そういうものを選ばないようにしようと思うと、カリモクや浜本工芸といった高級学習机を選ぶことになりますが、さすがに気軽に手が出る値段ではないわけで。かと言ってもうちょっとお手軽な堀田木工所やヒカリサンデスクはというと、いかにも浜本工芸の劣化コピーという感じで「コレジャナイ」感が強い。そんな悩めるママたちの前に颯爽と現れたのがリーモとカモミールなんじゃないかと思います。
イトーキがお母さんたちを虜にしたのはデザインだけではありません。もうひとつ、収納という問題に対して優れた提案をしたことも大きかったと思います。本体引出の専用お片付けトレー、フルスライドレールを敢えて採用せずに奥行が深いことを優先したロングサイズワゴン、自由に仕切れるフリーボックス型下段引出し、使い勝手の良いデスク側面の使い分けフックなど。袖天板リフティング式にせずに2段目を深くした袖ワゴンを採用したモデルもあります。
このようにイトーキは完全にお母さん目線なのです。これは子供目線でワクワクする学習机を開発する最大のライバルメーカー・コイズミファニテックとは対照的です。
もちろん現在ではコイズミファニテックにも競合するデザインのモデルはありますし、逆にイトーキにも調色式を採用したデスクライトがありますので、結果的に両社の商品はそれほど大きな差はないのですが、ディテールをよく見ていくとそれぞれのポリシーの違いは至るところで見ることができます。デザインで先行したリーモとカモミールがそれぞれリビング仕様のラインナップを増やすなどしているのはやはり親目線が如実に出ているところかなと思いますね。
コメント 皆様からご質問・ご意見など