ぼちぼちと「ベスト・オブ・学習机2016」を選考している最中なんですが、私の頭の中でノミネート作品が浮かんでは消えていきます。
2016年度は学習机史上まれに見る激動の年だったと思うんですけど、イマイチ盛り上がりに欠けるように感じます。他の業界同様に値上げラッシュが続いて消費者が買い控えムードであることも影響しているとは思います。しかし学習机に関しては問題の本質はそこではないと私は考えています。
各社各様の「リビング学習」対応が仇となった可能性あり
2016年度の学習机のキーワードは「天然木」と「リビング学習」。まるで申し合わせたかのように、多くのメーカーがその方向性を突き進みました。
天然木を採用した学習机が増えたことは良かったと思うのです。見た目や質感が良くなりますから、消費者にとって分かりやすいです。予算が追いつかなければMDFダイレクトプリントのものでも機能的にはまったく問題ありません。消費者にとって選択肢が減るということもなかったと思います。
一方でリビング学習対応というのが非常に分かりにくかった。コイズミファニテックからはスタディアップデスク・シリーズ、イトーキからは「コファーノ」や「あしたラック」など画期的な新商品が出ましたし、家具メーカー系も組み替え式デスクのラインナップや奥行の浅いデスクを増やしました。各社各様のリビング学習の方向性を打ち出したということ自体は決して悪くなかったと思いますが、消費者のほうがついてこれなくなってしまったのではないかと思います。「もうワケわかんないからウチはダイニングテーブルで勉強させれば良いわー」ってなもんです。
学習机評論家が考える理想のリビング学習対応デスク
意外に思われるかもしれませんけど、学習机評論家として理想のリビング学習対応デスクを考えた場合、杉工場のクッカがイメージに近いです。実態はともかくとして、杉工場のクッカは多くの女性が「長く使えそう」というイメージを抱くことができるシンプルなデザインです。また、リビングに置いても違和感のない程度に座りやすい脚形状となっています。
これにカリモク家具のボナシェルタのような書棚がセットできればOK。高さはミドルとハイの2タイプ、ハイタイプの書棚の幅は45cm、60cm、100cmが欲しいです。書棚をデスク側面に合わせたいわゆるユニットスタイルは必要ありません。
袖ワゴンは浜本工芸のように天板リフティング式と2段目が深いタイプがあればOK。また一応、ブリッジ型の上棚も欲しいところです。
そうするとザックリ言えばコイズミファニテックのプレオで良いじゃないかと思われるかもしれませんが、プレオではダメなのです。脚形状はもちろん、機能が複雑で、シンプルなデザインと言うよりはボリューム感が強すぎるのです。
また、カリモク家具のボナシェルタでもいけません。脚形状はもちろん、デスク本体の引出しがオプションだし、組み合わせ方も複雑です。そういう部分にコストを掛けるよりはもっと安く作ることを考えたほうが良いです。
2016/02/06追記:
改めて冷静に考えてみると、私が思っているリビング学習対応のデスクは浜本工芸のNo.32デスクに近いんですよね。でも「コレジャナイ」んです。これだとまず見た目でハネられます。
浜本工芸らしく安全性や強度に配慮してこのデザインになっているんだと思いますが、一言で言うともっと直線的なデザインのほうが良いのです。
いまソファーでもダイニングセットでも直線的で線の細いデザインが流行ってるじゃないですか。だから私は杉工場のクッカのようなデザインが良いと思うのです。
斜め上を行き過ぎた各社のリビング学習対応
私が思うに、学習机メーカー各社のリビング学習対応は斜め上を行き過ぎているのです。消費者はリビング学習をさせたい。けれどもリビングの見た目は損ないたくない。でもってスペースは限られているけど収納力は十分確保したいし、子供にとって使いやすいものを選びたいのです。
一見、欲張りのようにも見えますが、いたってシンプルなのです。基本は学習机でOKなんです。学習机を買いに来ているんですから。なのに学習机メーカーは一般の消費者がイメージする次元をはるかに飛び越えて行きすぎてしまっていたり、ラインナップの最適化を怠っていると私は思います。
学習机メーカーはもっとシンプルに考えなければなりません。消費者がまず惹かれるのは何かと言えば、デザインです。これが備わっていないものはもうお話になりません。そこから収納力を含めた機能性や子供にとっての使いやすさというところに考えが及び、最後にウチに置けるかどうかというサイズの問題に考えが及びます。
そのときに、デザインは良いけれども収納力が足りない、子供が座りにくそう、サイズ的に無理となれば、選択肢から外されます。しかし最適なラインナップが揃っていれば自分で組み合わせを考えてそれを購入します。だからコイズミファニテックのビーノは売れるのです。ビーノはデザインや質感が良くて、収納力や使い勝手やサイズに選択肢が多いから結果的に有力候補として残るのです。
「選べる」という要素は現代の購買行動を考えるうえで非常に重要な要素です。赤ペンがよく売れるからと言って赤ペンだけを作ったり店頭に並べてはいけません。赤ペンを売るには12色揃っている必要があるのです。
難しい話はともかく、学習机をこれから買う人ももう買った人も、杉工場のクッカとカリモク家具のボナシェルタを足して2で割った感じの学習机があったら良いと思いませんか?もし共感していただければ、コメントや「いいね!」をいただければうれしいです。もしくは「私はこんな学習机が欲しい!」というご意見もお待ちしております。
私の考えが正しいか間違っているかは分かりません。でも前述の考えに基づくと、2016年度は「おしい!」と思わずにいられない学習机がいくつかあります。
次回からはその「おしい!」学習机をいくつかピックアップしてまいりたいと思います。
【続編】おしい!大塚家具製造販売の学習机5重奏はセラウッド塗装で素敵だけど奥行が浅すぎる
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コメント 皆様からご質問・ご意見など
収納マンさまこんにちは
杉工場といいますと、私の記憶違いでなければ、
品質イマイチ~という感じでいつも捉えられていたような気がしますが…。
でも、あげられている商品可愛いと思います。
リビングに置く前提なら、こういうのいいですね。
カタログで詳細を見ようと思ったら、目的の商品がどの電子カタログに入っているのかわかりにくくてちゃんとは見ていませんが。
気になるのは脚形状です。机の面より出っ張りますよね。デザインとしては可愛いのですが、脚引っかけるからちょっとどうかな~ってタイプの人もいそうです。ていうか、自分がそうです。
収納マンさまの提言、いいと思います。
ボナシェルタなみの拡張性のある棚がつけられれば自由度があがりますしね。
夢を言えば、ボナシェルタのような棚に不要になった時に上棚が合体できれば良いかなぁと。
私的好みは以前言ったとおり、
浜本工芸さんのNo.07(脚形状はNo.47)+イトーキさんのコファーノの上棚タイプなんで、ものすごい少数派だと思います(^^ゞ
ただ、ワゴンだけは今現状のサイズには不満がありまして。
A3用紙収納ではなく、A4クリアファイルが2つ並べられるサイズにならないかなあと。紙を裸で入れる場合って少数だと思うんですけど…。
どこもA3用紙ぴったりサイズのワゴンですよね。
次回の「おしい」商品紹介、楽しみにしてます!
タケタケさま
杉工場の学習机は品質的には丁寧に作られているんですけど、やっぱりアルダー材の自然塗装ということでキズや汚れが付きやすく、引出し内部材もヒノキなので引出しの中身が空のときは良いですがモノを収めるとスムーズに開閉できないのが難点です。
クッカの脚は天板の手前よりも前に出ていることはないんですけど、たぶん引出しの側面が少し見えているのでそう感じるんでしょうね。
本棚に上棚が合体できるギミックは良いですね!
シンプルなデザインだったらオカムラのファゼルみたいに上下ひっくり返してドッキングさせることで強度を損なうことなく棚板の高さを調整することもできそうです。
リビング学習前提ではなくベーシックデスクということであれば、私も浜本工芸のNo.07デスクで脚形状はNo.47デスクでイトーキのコファーノの上棚の組み合わせが最高だと思います!
もっと言えばウチが買った浜本工芸のNo.02デスクをNo.47デスクの脚形状みたいにアレンジしてくれたら最高なんですが。
もちろん予算に余裕があれば無垢ですが、価格ラインナップ的には突板モデルを復活させて欲しいです。
でもワゴンの収納量をA3用紙サイズからA4ファイル2冊分のサイズにするとなるとさらに奥行が必要になるので難しそうですねー。
押入れ用の引出しみたいになってしまって、奥のモノを取り出すのも難儀しそうです^^;
収納マン様のブログが好きで、いつも拝見しています。
私は、学習デスクのサイズが70×110サイズのものが欲しいです。今ってこのサイズなかなかないですよね。奥行がたっぷりある方が本を並べたり、鉛筆削りをおいたりできると思うのです。
うちは結局奥行60のものを数年前に購入しましたが、やっぱりもっと奥行のあるものが欲しかったなって思います。でも70の奥行って今は全然売ってないですよね。会社のグレーのスチール事務机のような奥行が深いものがやっぱり使いやすいなって思います。
母よりさま
はじめまして^^
母よりさんがおっしゃる通り、私も奥行700mm以上のデスクが欲しいです!
何だか世の中、奥行の浅い学習机ばっかりになってしまって、私も気弱になってしまってました。
組み替え式デスクが世に出る前は、基本的に学習机は奥行700mm以上だったんですよ。
それがどんどん短くなっていってしまって…。
ひょっとしたら、組み替え式デスクが売れているのって、本棚とセットにしてスタンダードスタイルにしたら奥行が700mm以上になるからという理由もあるのかもしれません。
でも組み替え式デスクは私的にはちょっと違うんです。
足元棚はどっちでも良いんですけど、継ぎ目のないフラットな奥行700mm以上の天板面が欲しいのです。
昔ながらの奥行の深いベーシックデスクが復活しないものですかね~。
意外と面白いんじゃないかと思いますが…。
収納マンさま、お久しぶりです。
写真の商品かわいいですね。
椅子はイヤですけど…。
このデザインなら一次的なリビング学習デスクには良いかと思います。
そのままリビングでママデスクにしても違和感ないですね。
個人的にはリビングに置くならカリモクのセミナエースが好みです。
学習机というよりママデスクとして私が欲しい(笑)
でも、リビングに置くのは一次的で、いずれは子供部屋に移動するちゃんとした「学習机」で、となると、ピュアナチュール。
我が家はピュアナチュールの引出しがオプションな上にサイズが小さいことが気に入らず、ベネッセコラボの方にしましたけど。
個人的にはワゴンの天板昇降は
嫌いです。机横にワゴンを並べて使用する可能性も考え、天板の高さ・奥行を綺麗に揃えたいので、奥行が揃わず、天板昇降で空洞ができる浜本は脱落しました。
ミャータンさま
おひさしぶりです^^
カリモク家具のセミナエース、良いですよね~。
子供が高校生くらいになったときのことをイメージすると最高だと思います♪
唯一残念なのは、以前にも書きましたが、オプションの引出しのデザインがセミナエースに合っていないということです。
こういうところにカリモク家具の引出し軽視の姿勢が見て取れるのは残念です。
ピュアナチュールは言わずもがな、最高のベーシックデスクですね。
ただこれも引出しについて言えばハマナチュールのほうが…となってしまうんですよね~。
でもワゴンはとなると、ピュアナチュールのギミックのほうが素晴らしい。
それを前提にデスク本体の引出しを設計するとどうしてもピュアナチュールの引出しでOKとなるんですよね。
あっちを立てればこっちが立たずで難しいです^^;
収納マンさん初めまして
この記事、見逃してました!多分リビング学習というキーワードが我が家的には関係ないとオミットしてしまってたのかも。
うちは年長の娘が自分の部屋を切望してるのと親的にも学用品や絵本・玩具をリビングからなるべく一掃したいので、入学に際して机を子ども部屋に置くつもりです。机は子ども部屋でも多分今のお絵かきの延長で暫くはダイニング学習になると思いますが。なので以前からこちらで色々と勉強させていただいておりました。
いやはや深く同意しました!
そうなんですよ、ベーシックデスク難民的にも何だかんだビーノがセレクトしやすくなっちゃうんですよね。というかビーノくらいしか無い(涙)
個人的にはイトーキのマニアックな引出しに強く惹かれながらも、机の奥行が60なら幅120のデスク欲しいけど無いしな、幅100までならせめて昇降袖欲しいけど無いしな、とか。逆にコファーノのラック、正直リビングに置きたいとは全く思わないのに何故だ、とか(笑)
まさしくリビング学習というキーワードに踊らされてるのはメーカーの開発担当ですね。ラインナップの最適化、僭越ながら私も望みます。色々なシリーズから選びたいです~
最後に質問いいですか?
机の背後にベッドを配置するのですが、椅子を引いたりするスペースとしてどれくらい離さないとダメでしょうか?それは回転椅子と木製椅子とで変わりますか?
ミケリテさま
はじめまして^^
私のほうもちょっと勘違いをしていたようで、ミケリテさんのように学習机は子供部屋に置いて、ダイニングテーブルで宿題などをさせるというお宅が結構多いようです。
あと、組み替え式デスクのような複雑なものは望んでいなくて、シンプルなもので必要なアイテムをチョイスできるものが好まれる傾向にあるように思います。
これは今のところこちらの読者限定かもしれませんが、スタンダードになっていくような気がするんですけどね。
もちろん、オールインワンの分かりやすい学習机が必要ないというわけではありませんが。
ご質問の件、基本的には椅子の奥行+15cm程度あればOKです。
大人だったら椅子を引いて、座ってから椅子を引きますが、足が床に付かない子供の場合は椅子を引く必要がないですから。
ただ厳密に言うと、脚形状などでも変わってきます。
学習机の脚がKライン脚(Cライン脚)の場合は、椅子の奥行程度のスペースで十分です。
学習机に足元棚がある場合は、椅子を引いて下に潜り込む必要がありますので、椅子を真後ろに引いて潜り込む場合は100cmくらいは必要になるでしょう。
また、袖ワゴンを引く場合はワゴンの奥行+5cmくらいは確保しておいたほうが良いですね。
つまるところ、椅子を引くスペースは最低で45cm前後、標準で60cm前後、ゆとりを持って最大100cmくらいといった感じです。
木製椅子と回転チェアで大きく変わることはないと思います。
早速のお返事おそれいります、お忙しい中ありがとうございました。
さすがですね、足元棚の場合の作業性まで考えられてご回答いただけるとは!なるほどうっかりしてました。ハマナチュールにする場合は要注意ですね、価格的に可能性は低いですが(T▽T)
椅子や袖ワゴンのことを考えたら、ベッドはミドルベッドにして下を空けておくのも一つの手かもしれませんね~
何だかんだ言いつつも、2017年度のラインアップが楽しみです!
ミケリテさま
ベッドはミドルベッドでお考えですか?
ミドルベッドでも普通のシングルベッドとして使えるものもあると思いますが、レイアウトが厳しいようでしたら、ヘッドボードなしのコンパクトなベッドのほうが良いように思いますが。
マットレスは傷みますけど、フレームはなかなか壊れませんので、買い替えるとしてもなかなかタイミングが難しかったりするのですよねぇー。
2017年度、ミケリテさんのお眼鏡に適う学習机が見つかると良いですね!^^
今さらの返信で恐縮ですf(^_^;
やはり最終的にミドルベッドになりそうです。子どもの強い希望というのもありますが、私が一人暮らしの時に(ミドルベッドではないものの)高脚のシングルベッドの下に衣類ケースなどを入れて収納量を確保していたので、押入れなど無いオープンスペースに子ども部屋を作るにはこれが良いかなと思いまして。のちのち通常のシングルベッド(脚の高さが二段階選べる)にもなるものを選んでみましたが、その時にはベッド下を断捨離ですね(*´-`)
ひとまず机に座って背後のベッド下には持ち合わせのカラボを横置きして、ランドセルラック代わりにしてみます(^-^)ゝ
…ってスミマセン、既に理想のリビング学習机ネタからかけ離れてますね、ご無礼いたしました。
ミケリテさま
いや、お子さんの強いご希望もあってミケリテさんご自身もその良さをお分かりでしたら、ミドルベッドで良いでしょう。
収納方法っていうのはこれが正解というのはないんですね。
例えばあるお宅では、2階のクローゼットにペットボトルや缶飲料をストックしていて、1階のLDKからそこまで往復していたんです。
私が「それって大変じゃないですか?1階のほかの場所に移したほうが…」と提案したんですけど、ご本人はまったく気にならないということで、それについてはそのままになりました。
結局のところ、人間は慣れの生き物です。
それが当たり前であれば、一般論から言うと効率的とは言えなくても、慣れてしまえばまったく問題ないこともあるのです。
奥さんが収納を改善してみたつもりが、ご主人は「前のままのほうが良かった」と言うことが多いのも同様です。
ミドルベッドはきっとお嬢さまにとって理想のお城となると思います。
毎日、楽しくて仕方なくなるでしょうね^^