先日、堺市東区の藤光家具に家族で行きました。新居に置く予定のソファやローボード、ベッド、食器棚などを見に行ったのですが、中でも私がこだわりたいのはダイニングセットです。藤光家具には手頃な価格の素晴らしい国産ダイニングセットがたくさんあります。
コスパに優れた浜本工芸のダイニングセットも捨てがたいのですが、やっぱり飛騨産業のダイニングセットは素晴らしいですよねー。なんと言いましょうか、本物を持つ喜びというのがあるように思います。
しかし、良いものだからと言ってポンポン売れるわけではありません。優れた技術を持つ作り手にとっては、消費者からは窺い知れない苦労があるようです。
飛騨産業の2020学習机
飛騨産業の学習机は近年、ラインナップに変化がほとんどありませんでした。ラインナップに手を加える必要がないということは戦略がうまくいっているということで大変喜ばしいことだと思っていたのですが、今年はちょっと驚かずにはいられないほど手が加えられています。
価格が最大4割近くアップ!
2020年度の飛騨産業の学習机は、2019年度と比較してすべての商品が値上げされています。デスク本体は概ね3~10%程度の値上げで済んでいるのですが、上棚などの関連品の値上げ率がすさまじく、たとえば上写真のビギンの上棚はなんと約37%もの値上げです。消費税が8%から10%に上がったことも含めると、昨年度からはちょうど40%も上がってしまう計算です。
すわ、「便乗値上げか!?」と思われるかもしれませんが、それは飛騨産業の本意ではないでしょう。少子化や他社との競争の影響でロットが減少し、価格を見直さなければやっていけないというのが本音ではないかと思います。
ワゴンがMR618にほぼ一本化

出典:飛騨産業
「そうせき」が廃番になったり、チェアが6型から3型に半減したことも衝撃的でしたが、個人的にもっと驚いたのがワゴンがMR618にほぼ一本化されたことです。ビギン、ソフィオ、ソフィオSUGI、それぞれに用意されていたワゴンが廃番となり、「MR618Rで我慢してや―」と言うわけです。
圧縮スギでできたソフィオSUGIにレッドオークのMR618Rを合わせるなんて、デザインや質感を重んじる飛騨産業にとっては屈辱的なことでしょう。また、「morino kotoba(もりのことば)」のワゴンもMR618Rと同じ形のMR618Fに変更されています。この妥協点の探り方も、従来の飛騨産業からはまったく考えられないことです。
主力「ソフィオ」からラックなどが消滅
さらに、飛騨産業の主力であるはずの「ソフィオ」から、脚にもなる「ラック(MR591)」や「ウォールラック(MR560)」などいくつかのオプションが廃番となり、組み合わせパターンが大幅に減っています。
生産効率を高めるために致し方ないところもあるのだと思いますが、これではますますカリモク家具の「ボナシェルタ」や浜本工芸の「No.6000デスクユニット」に対抗するのが難しくなってしまいますねー。
冒頭の藤光家具のほか、東京インテリア家具やIDC大塚家具でも飛騨産業はカタログ外商品を扱っています。なので、今回の変更は飛騨産業にとって大きな影響はないのかもしれません。また、販売店や消費者からお叱りを受けるのを承知で手を加えざるを得なかった事情というのもあるのだと思います。
しかし、うっとりするほど美人揃いだった飛騨産業の学習机がこんな風になってしまうと、魅力は大きく失われてしまいます。しかも、これだけ価格がアップしてしまうと、ちょっと庶民には手が出ません。
市場が縮小する一方の学習机に見切りをつけてリビングダイニング家具に経営資源を集約するという方針なのかもしれませんが、2021年度は飛騨産業らしい攻めの一手を拝見したいものですねー。
関連記事

コメント 皆様からご質問・ご意見など