これまでわたくし収納マンはイオンの学習机をケチョンケチョンに言ってまいりました。
もちろん、根拠なくそんなことを言っているわけではありませんし、別にイオンを必要以上に陥れるつもりで申し上げたわけでもありません。消費者に地雷アイテムを掴ませないようにすることが第一の目的。そして、もしイオンの担当者の目に触れることがあるなら奮起してもらいたいと願って申し上げたつもりです。イオンはやれば「できるん」デスから。
そんな願いが通じたのか、やっぱりやればできる子だったからか、2017年度のイオンの学習机は少なくとも一見の価値があると感じました。
新登場!カスタマイズシリーズ

出典:イオン
ベースは2016年度に発売された80cm幅の「ナチュラルウッドデスク・コンパクト」なんですが、それに新しく発売された「カスタマイズ・ハイシェルフ」または「ローシェルフ」を組み合わせることで、こんなにもイマドキな感じのデスクに仕上がりました。なんというか、ベルメゾンDAYSで扱ってそうな雰囲気ではないですか。もっとも、ベルメゾンでも堀田木工所の学習机を扱っているわけですが。
こちらのハイシェルフはメーカー名が伏せられておりますが、おそらく堀田木工所のもので間違いないと思われます。学習用途だけでなくリビング家具としてもテレビボードと一緒に展示されており、トータルでコーディネートできることを訴求している感じです。
スタイル的には私が昨年度にデザインをべた褒めしたアクタスの「ripia(リピア)」に似ていると思います。それを箱物家具メーカーである堀田木工所が作るとこんな風になりましたという感じですね。デメリットも同様で、袖引出しがないので収納力は不十分です。リピアと異なり本体に引出しはあるものの、デスクの背板が邪魔になって本棚の前にデスクを置く場合はデッドスペースが生じるというのも問題です。
ちなみに「カスタマイズ」というのは、既存のナチュラル色に加えてブラウン色が追加されたこと。デスク幅は80cmと100cmがあること。シェルフは高さがハイ(180cm)、ロー(108.8cm)、幅が46cm、86cmから選べること。これらの組み合わせが自在ということでカスタマイズと言っているようです。
デスクはサイズオーダーが可能に
以前から存在する「ナチュラルウッドデスク・スタンダード」は天板サイズが幅100×奥行55cmですが、税込5,400円を払えばサイズオーダーが可能となりました。奥行は50cmまたは55cm、幅は80~120cmまで10cm刻みで5サイズです。もっとも、堀田木工所のカタログ外商品であるフレンドならデザインが似ていてサイズバリエーションも豊富で価格も安いので、わざわざイオンでサイズオーダーして買う理由はないと思います。
また、カラーもナチュラル色のほかにブラウン色が選べるようになっています。ブラウン色はカタログ掲載モデルにはありませんが、一部の家具店ではオリジナルモデルとして扱われていますね。
なお、スタンダードデスク+上棚+ワゴンの3点セットは販売されるものの、上棚やワゴンの単品販売はなくなったようでカタログから消えています。ただ、サイズ的にはダックのワゴンがピッタリですので、どうしてもという方はそのへんの家具店でお買い求めください。
ナチュラルウッドデスクがUV塗装に!?
昨年度は気付かなかっただけなのかもしれませんが、ナチュラルウッドデスクの引出しの内側の品質表示のところに「UV塗装」と記載されてあります。堀田木工所だから自然塗料だと思い込んでいたのですが、何のことはない、堀田木工所のプロパー品でも使われている「自然風塗料UFOオイル(UVフィニッシュオイル)」のことのようです。
カタログには一切記載がないうえに調べてみても詳しいことが分からなかったのですが、この自然風塗料UFOオイルというのはアクリル系樹脂とオイルを混ぜた塗料のようで、そこにUV(紫外線)を照射することで硬化を促進するようです。浜本工芸が扱っているUVウレタン塗装の場合は非常に表面硬度が高いのですが、UFOオイルの場合はあくまで耐摩耗性を高めるもので、表面硬度が増すというほどのものではなく、簡単にキズが生じます。主観的には無印良品のパイン材ユニットシェルフに使用されているUV塗装と同程度という感じですね。一般的な学習机で使われているウレタン塗装とは比較になりません。
つまるところイオンのナチュラルウッドデスクおよび堀田木工所の学習机の一部モデルの天板面に使われている塗装は、自然塗料よりは耐摩耗性に優れると言えるものの、UVウレタン塗装とは比較にならないどころか、UV処理されていないウレタン塗装にも劣るという感じです。「UV塗装」の一言だけでゴッチャにしてしまうことのないようご注意ください。
イトーキのお片付けラックが仲間入り
今でこそイオンの学習机と言えば堀田木工所と静和YBJの2メーカーのイメージが強いわけですが、もともとはコイズミファニテック、くろがね工作所、オカムラ、ヒカリサンデスク、小島工芸の学習机も扱っていました。イトーキについては私は記憶がないのですけれど、2017年度はお片付けラックが投入されました。
こちらのお片付けラックAER-91はコファーノの「お片付けラックCN-R06」にデザインが似ているものの、キャスターが付いているうえに色も少し違う完全オリジナル品となっています。ゆくゆくはイトーキの学習机もイオンに本格参入する時が来るのかもしれません。そうなればニトリvsイオンのガチマッチですね。
そのほか、2017年度のイオンの学習机は主力だった「できるんデスク」からカラー引出し前板がなくなるとともに、従来型の学習机のラインナップも減るなど、ますますナチュラルウッドデスク頼み、堀田木工所シフトが進んでいます。堀田木工所のほうはイオンシフトで売上増の様相ながら高い粗利率を要求されて厳しいんじゃないかと思いますが、とにもかくにも売上が確保できるのはありがたいのではないかと思います。
しかしアレですね。ベネッセ×カリモク家具のように、イオンも堀田木工所の名前を前面に出してやれば良いのに。堀田木工所では分不相応だと思っているんでしょうか。職人のオッサンの顔写真は出しても堀田木工所の名前を出さないなんて、随分とナメたマネをしてくれるもんです。
ともあれ2017年度、さらに強力なダックならぬタッグを組んだイオンと堀田木工所。その結果、2018年度はどういう展開が待っているのでしょう。リベンジなるのか、はたまた引き続き空回りして終わるのか。楽しみです。
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