4万円台、5万円台、6万円台と来まして、いよいよ平均購入価格帯の7万円台の学習机のオススメでございます。
過去数年で見ると、7万円台というのは真空地帯だったんですよ。平均購入価格帯というのは名ばかりで、実際のところは5万円前後と10万円以上に二極化していて、その平均を取ると7万円前後という、数字だけの話だったわけです。
ところが、2017年度はこの価格帯はかなりの粒揃いとなっております。日本人的感覚から言いますと実に手が出しやすいですし、4~5万円台がイマイチでしたので、結果的に平均価格の押し上げに繋がりやすいのではないかと思います。メーカーとしてはこの価格帯でしっかりと台数を稼げれば、2018年度以降に光明を見出せるのではないでしょうか。
というわけで粒揃いの7万円台を順番に紹介して参りましょう。
コイズミファニテック・オルレア・ベーシックデスク
まず最初は、コイズミファニテックの「オルレア・ベーシックデスク」です。イトーキのカモミール・ベーシックデスクとリーモ・ベーシックデスクもほとんど同じ価格なので、どれにしようかとかなり悩みました。ただ、オルレアは2017年度からデスクライトが大型化したことやワゴン天板が無垢であることを評価して、オルレアのほうをオススメとしました。
もっとも、オルレアにするかカモミールにするかはデザインの好みの違いによるところが多いとは思います。機能面では、オルレアのほうがデスクライトの幅が広いほか、足元棚、全段フルスライドレール、ランドセルハンガー、ワゴン天板無垢という点がメリット。逆にカモミールは、ロングサイズワゴン、使い分けフック、お片付けトレー、フリーボックス型下段引出しがメリットと言えます。
コイズミファニテック・レイクウッド・ユニット-Lデスク
昨今、ニーズを強く感じるのがユニット型デスクです。個人的にはあまり好きではないのですが、正面ではなく横に棚があるのが学習机っぽくなくて好まれるのでしょう。その点で言うと、コイズミファニテックの「レイクウッド・ユニット-Lデスク」はオススメです。
この価格帯でユニットデスクと言うと、一般的には2017年度登場のイトーキのユニアスだと思うんですね。ユニアスはコイズミファニテックのスタディアップデスクのようにレイアウトを変えることができますが、個人的にはどうにもあのワゴンの安っぽさが受け付けません。レイクウッドのユニット-Lデスクのほうがボリューム感があり、デスクの幅に見合ったデスクライトの幅があると思います。
コイズミファニテック・レイクウッド・ステップアップデスク
続いてはまたレイクウッドですが、今度はステップアップデスクのほうです。ギリギリ7万円台とは言え、この価格帯で天然木の組み替え式デスクが手に入るというのは、特に収納面で不安をお持ちの方にとってはありがたいのではないでしょうか。ちなみにデコプリのステップアップデスク・ミドルタイプも同じ価格で手に入れることができます。
しかし、7万円台にコイズミファニテックの天然木のステップアップデスクが入ってきてしまうと、くろがね工作所としては厳しいですね。販売店によってはくろがねのほうが安いということも多いとは思いますけど、苦戦が予想されます。
コイズミファニテック・コルフィ
2016年度は8万円台にアルフが登場して、「新商品とは言え、なかなか値頃感があるなー」と感心していたんですけど、2017年度は7万円台にスタディアップデスクの新型「コルフィ」が登場して、またまた驚きました。
コルフィはラバーウッド無垢の天板ですが、一昔前のようなツヤツヤテカテカの安っぽさはありません。マット調でボリューム感があり、ラバーウッドとは思えないような良い質感です。こういう、意外と技術力が高いところが、コイズミファニテックの侮れないところです。
2016年度に大量投入されたスタディアップデスクは、ユニット型デスクとして支持されたと見る向きもあります。圧迫感が少ない奥行浅めのデスクならコルフィなどのスタディアップデスク、奥行深めで受験勉強に備えたい方にはレイクウッドのユニット-Lデスクがオススメと言えるでしょう。
オカムラ・テヌート
価格帯別とは言え、オカムラの学習机を「オススメ」と言うのは私らしくないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。けれども、オカムラの学習机はワンテンポ遅れて私の心にジワッと来るのです。
オカムラの「テヌート」は2016年度初登場の奥行を変えられるタイプ(=広さ調節タイプ)の学習机です。2017年度はノベルとプリティアにも広さ調節タイプが登場しました。
広さ調節タイプのラインナップが増えている=消費者ニーズを反映しているからと言って評価を上げるつもりはないんですけど、消費者のニーズが多様化する中、広さ調節タイプという選択肢があるのはありがたいことです。
また、この構造と材質で7万円台というのは決して安いとは言えないものの、ベネッセ×カリモク家具の「学びデスク・広さ調節タイプ」に比べれば手が届きやすい価格帯であると言えます。さすがに、ノベルとプリティアの広さ調節タイプの価格は「はあ!?」と思ってしまいますが(苦笑)、アルダー無垢でこのくらいの価格なら、ギリギリ何とか許せそうな感じです。
最後のテヌートは、7万円台のオススメがコイズミオンリーになるのを防ぐために無理矢理ねじ込んだ感がありますが、平均購入価格帯の7万円台はコイズミファニテックが想定以上に強い感じです。イトーキも健闘しているものの、それ以上にコイズミファニテックが強すぎるという感じがします。
7万円台には他に、ハイタイプでコイズミファニテックのCDファーストやイトーキの元祖ジョイカラーデスクもあります。ただこれも、イトーキご自慢のロングサイズワゴンや使い分けフックが付かないジョイカラーデスクのほうが不利です。
年度始めにはリーモとカモミールのベーシックタイプが復活、しかも79,800円ということで驚き、さらにネットでは70,000円からという価格で販売されて2度驚かされました。しかし、それも結局、オルレアのベーシックデスクがデスクライトを大型化しつつ同じ価格帯を維持したことで、サプライズが打ち消されてしまいました。
ちなみに、楽天市場ではないですが、今年の夏にこちらで話題沸騰となったファニチャードームの「TOKKU」もコイズミファニテック製で7万円台からです。
本当に、冷静に判断すればするほど、コイズミファニテック恐るべしですよ。あんまりコイズミファニテックが強くなるとライバル社が勢いをなくしかねないので困ってしまいます。
【続編】【価格帯別オススメ学習机】平均購入価格帯よりワンランク上の8万円台
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【コメント】 皆様からご質問・ご意見など
収納マン様
初めまして。学習机の購入を検討中で、こちらの記事を 愛読させていただいています。
これまで ダイニングで勉強をして来た小学生の娘ですが、最近 親子で タイミングが一致して、机を買うなら今だ!ということになりました。
娘の希望は 白 です。
そこで、デコプリを念頭に 家具店に行ったのですが…
鏡面がきれいな分、ガラス扉のボックス周りなど、ところどころに紙を貼ったような板が目についてしまいました。デスクライトや、引き出し、ランドセルハンガーなどは 良いのですが、約10万という価格を考えると、躊躇しています。
その直後、店の隅にあった同じく白の鏡面タイプで、子供が気に入ったものがあります。希望は ほぼ満たしている上に 安い! ですが、収納マン様の記事や、通販サイトのレビュー(ヒビ割れや ネジ不良、その後の対応 )から、作ったメーカーさんに少し不安を覚えています。店員さんも 推す感じがなく…
そもそも、鏡面塗装というのは、耐久性は どうなのでしょうか。
同じような塗装でも、メーカーによって 質や耐久性は 相当違うものでしょうか。
お忙しいところ、大変恐縮ですが、ご意見 お聞かせ頂けましたら 幸いです。
あきさま
はじめまして^^
なるほど、確かにデコプリの天板など一部は鏡面塗装ですが、側面や背面はプリント紙ですので、気になると言えばその通りかもしれませんね。
白い机でも鏡面ではなくマット調(つや消し)であれば、側面に貼ったプリント紙と質感が似ていて違和感が生じにくいのです。
また、パイン材の机などはすべて塗装で白くしているので、どこから見ても同じ塗装、同じ質感にすることができます。
ただ問題は材質です。
パイン材の場合、軟らかくてキズが付きやすく、グラつきが生じやすかったりもします。
パイン材を使った家具は基本的に低級の位置付けですので、材質だけでなく品質も総じて悪いことが一般的です。
天板がMDF合板で、すべて塗装で仕上げているものもあり、決して品質は悪くないものもあるかもしれませんけど、ちょっと何とも言えないですね。
品質の良し悪しは概ね、引出しを開閉してもらえると分かります。
品質が良いものはスムーズに開きますが、品質が悪いものは開閉時に引っ掛かるような感覚があります。
鏡面塗装は基本的に硬い塗装ですので、キズはつきにくいです。
ただ、塗膜が厚いので、欠けやすいという特性があります。
鏡面塗装に限らず、塗装はメーカーによって違いが出やすいと思います。
ラッカーかウレタンかという違いであったり、下地処理をどれだけ丁寧にするか、何度塗り重ねるかというところは、おおよそ一般の方には想像がつきません。
そのため、手を抜いてもバレにくいというところがあります。
ただし、実際にどれだけキズが付いたりするかは使い方次第のところがありますので、一概には何とも言えないところです。
とは言え、まともな販売店ほどクレームを嫌うため、販売員の方があまりオススメしないものは基本的に手を出さないのが無難でしょう。
収納マン様
突然の質問に、材質から塗装のことまで、わかりやすく教えていただき、 本当に ありがとうございます。
どちらの机も、MDFにウレタン塗装でした。鏡面は キズやヒビが入った場合に 補修ができないそうで、高校卒業まで 天板がもつのか、不安になってしまいました。実際に使って、年数経ってみないと なんでも耐久性はわからないですね。
やはり、お店が勧めてこないものは、避けた方が 安心なのですね。白ということで、他の選択肢が少ないのが辛いところです。
後者のメーカーは、ニトリにも 鏡面デスクを出しているそうなので、最後の悪あがきとして、そちらの引き出しもチェックしてみて、決断したいと思います。
それにしても、家具店は、何店舗か見に行ったのですが、展示台数でも 店員さんのトークからも コイズミが圧倒的に強いのですね!
種類も多く、LEDライトやフルオープンの引き出しなど、機能面でも それは納得なのですが、買う側としては、コイズミに続くメーカーにも ぜひ頑張って欲しいです。
展示してあり、子供が気に入り、使い勝手などの条件も満たしているのに、勧められないって、ちょっとさみしい気がしました。
我が家のダイニングセットは、10年ほど前に 奮発して買った、身の丈に合わないカリモクなのですが、全く劣化なく、今後も長い付き合いになりそうです。国産はすごいんだな、と 今回あらためて実感しました。
話が長く それてしまい、すみません。
お忙しい中、色々教えてくださり、感謝しています。本当にありがとうございました。
あきさま
どちらもMDFにウレタンの白い鏡面塗装、しかもニトリでも販売していると公言しているなら、それはくろがね工作所じゃないですか?(笑)
私自身はくろがね工作所の学習机は決してダメだと思わないんですけど、販売員の方にすごくアレルギーがあるようです。
クレームが多いと聞きますし、クレームが起きても営業マンがフォローしてくれないんでしょう。
そういうことが度重なると、販売員が売りたがらないのは当然です。
確かに、くろがね工作所の学習机は、展示品を見ても表面が欠けていたりすることが少なくないように思います。
それは鏡面塗装だけでなく、突板などでも同様です。
ちょっと製造工程や検品の体制が雑なのかなと思います。
ともあれ、ハズレさえ引かなければ、くろがね工作所の学習机は全然悪くありません。
鏡面塗装に関しては、コイズミファニテックと比べて遜色はないと思います。
そこはやっぱり大手ですし、カラーデスクには強みを持っているメーカーですから、理屈上は大丈夫だと思います。
私としましても、コイズミ圧勝ではなく、イトーキやくろがね工作所にも頑張って欲しいと思っています。
コイズミとイトーキは「2強」と言っても差し支えないのですが、くろがね工作所はクレームの件もあり、さすがに「3強」とは言えないのですね。
そんなわけで私としても、くろがね工作所はあまりオススメとして挙げづらいのです。
他方、国産だからと言ってすべてが良いわけではありませんが、やはりカリモク家具は別格です。
それと同じ基準で品質について語れるメーカーで学習机を選ぼうと思ったら、やっぱりカリモク家具、浜本工芸、コイズミファニテック、イトーキ、あとは飛騨産業、小島工芸、大塚家具製造販売、ヒカリサンデスクくらいではないでしょうか。
そしてそのうち、白いデスクを扱っているのは、カリモク家具、コイズミファニテック、イトーキだけですね。
さらに鏡面塗装となると、コイズミファニテックだけです。
選択肢が多そうで実際にはほぼないのはツライ状況ですが、白い学習机は一定の需要はあるもののそれほど需要が多くなく、しかも技術的に難しいところが多いのです。
そんなわけで毎年、「白いデスク難民」が発生するという状況ですが、それすら少なくなってきている印象です。
そのような状況ではございますが、良い机に巡り会うことを祈っております^^
収納マン様
ありがとうございます!
メーカーですが、収納マン様のご推察の通りです。
そして、家具店での店員さんの反応も まさに アレルギー、そんな感じでした。「コイズミ、イトーキに次ぐ、主力メーカー」との説明とは反対に「保証はあっても、ないと思ってもらった方がいいです」とも。
そう言われると、買う勇気が出ませんでした。
収納マン様のおっしゃるように、展示品も、他社と比べて 欠けたり、傷がつきやすいそうで、お店としても、なかなか勧めにくいのですね。ハズレは引きたくないし、残念です。
カリモクもチェックしたのですが、子供のイメージする”かわいい”とは違うそうで、選択肢から外れてしまいました。他の家具では 白って珍しくないのに、学習机となると 難しいのですね。
1月も後半、早めに決断して、この悩みから解放されたいと思います!
深い知識のもと、客観的なご意見を聞かせてくださり、大変 参考になりました。
収納マン様、ありがとうございました‼︎
あきさま
やっぱり、そうでしたか。せっかくオブラードに包んでくれたのにすいません^^;
他のメーカーの学習机は基本的に、売れたらメーカーから取り寄せるかたちなんですが、くろがね工作所はコンテナで一括納品されるそうなんですね。
ですから販売店としては利幅が大きい。けれどもクレームが発生したらその中でやりくりせざるを得なくなり、バイヤーは「それでも利益が出せるから良いじゃないか」と考える一方で、販売員にとっては上司もメーカーも助けてくれないので、お客さんに頭を下げるしかなくなくなってしまうんです。
> 他の家具では 白って珍しくないのに、学習机となると 難しいのですね。
そうなんです。私がアンチのオイル塗装でも同じことが言えます。
デスク天板、しかも子供が使うとなると、どうしても耐久性が求められます。
他の家具であれば、オイル塗装でも白い塗装でもほとんど何の問題もないのですが、子供が使う学習机となると非常に難しくなるのです。
いくら高くても構わないというお客さんが多ければメーカーもやりようがあるんでしょうけど、実際はそうではないので、コストを抑えて問題ないところ、つまり耐久性に影響がないところはプリント紙で仕上げるなどということになります。
そういう状況ですが、お嬢さまが納得できる机が見つかると良いですねー^^