学習机に対する消費者の関心は「幅→高さ→奥行」と移り変わっている?

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前回レポートした通り、2017年度はオカムラが広さ調節デスクのラインナップを拡充しました。これはベネッセ×カリモク家具の「学びデスク・広さ調節タイプ」に追随したと言えるものです。

これはオカムラがベネッセをパクったなどという単純な話ではありません。もっと深い意味が込められているのではないかと私は考えました。

そこで私なりに考察を試みたところ、面白いことに気付いたのです。今回はそれについて、近年の学習机の歴史を紐解きながら説明したいと思います。

※この記事は2016年9月10日時点の情報に基づいています

 

2000~2005年頃…「幅」で選ぶ時代

私が家具メーカーに勤めていた当時は、首都圏は100cm幅、地方は110cm幅の学習机が売れるという時代でした。もっとスペースに余裕があれば120cm幅、狭くて置く場所がないという場合は90cm幅を買い求めるという傾向もありました。

当時はMDF合板に木目調のフィルムをラッピングした天板がスタンダード、天然木のスタンダードがラバーウッド(ゴムの木)、高級なものはナラ無垢というステレオタイプがまかり通っていた時代でもありました。

それまではハイタイプの棚が一般的であったのがロータイプを選ぶ消費者が増えてきたり、ハイタイプでも上下分割可能なものが一般化してきた時代でもありましたが、まだまだ幅と素材を中心に選ぶ時代であったと思います。

2006~2014年頃…「高さ」で選ぶ時代

2006年度に天板昇降式デスクであるベネッセ×カリモク家具の学びデスクと同じくオカムラのピエルナが発売。また、ハイタイプとロータイプのいずれを選ぶかが二分されるようになってきました。今までの延長で棚が高いか低いかというだけでなく、天板の高さも意識されるようになった時代と言えます。

素材もMDF、ラバーウッド、ナラの一辺倒ではなくなり、アルダー、ビーチ、バーチなど多様になりました。ニトリの台頭、イケア上陸、リーマンショックなどの経済および市場の大きな変化もあり、消費における多様化が進んだ時代であったとも言えます。

 

2015年頃~現在…「奥行」で選ぶ時代

2015年頃から特に「リビング学習」というものが消費者およびメーカーの注目を集めるようになりました。他方でまだまだリビングに学習机を置くというお宅は決して多くないのが現状ですが、2015年頃からリビングに置いて違和感がないというコンセプトの学習机が増えてきました

棚は低くてコンパクト。奥行は浅く。これがリビング学習用のデスクのひとつの特徴です。棚が低いというところに注目されているということは裏を返せばまだ高さは意識されていると言える一方で、幅について意識されることはほとんどなくなりました。10年以上前に比べて家の床面積が広くなったわけではなく、ミニマリスト(必要最小限のモノで暮らす人)が増えて机を置くスペースに困らなくなったわけでもないにもかかわらずです。

 

以上述べたことはあくまで近年の学習机の歴史を一面的に捉えた場合の話であって、実際はそれほど単純ではありません。イトーキが1962年に日本で初めて発売した学習机は既に天板の高さを調節できる機能を有していましたし、コクヨのくるくるメカの発売は1982年です。奥行が浅いという点では、カリモク家具のユーティリティは2004年に登場していました。さらに言えば、コイズミファニテックのステップアップデスクは2006年の発売で、これは組み替え次第で幅と高さと奥行が選べるというものでした。つまり、いつの時代も、幅、高さ、奥行ともに、シームレスで意識され続けてきたわけです。

他方で、現在は幅があまり意識されることがなくなり、天板昇降式デスクのブームが終わり、奥行が浅めのデスクに注目が集まっていることは紛れもない事実です。

学習机評論家の私としては、本格的に受験勉強をするときのことを考えれば奥行の深い(60cm以上)学習机をオススメしたい一方で、インテリアコーディネーターの私としては、リビングダイニングに置くなら奥行の浅い(55cm以下)デスクをオススメしたい気持ちもあります。

実用性か、インテリア性か。現在は奥行で学習机を選ぶ時代と言えるわけですが、天板の奥行をどうするかということは、つまるところそういうことだと思います。そしてそのトレンドの中で、ベネッセ×カリモク家具やオカムラの広さ(奥行)調節タイプが今後どれほど消費者の支持を集めるかを注視したいと思います。

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この記事を書いた人

学習机評論家。前職である家具メーカー勤務の経験をもとに、オススメの学習机を紹介しています。
日本で初めて一般家庭向け収納&インテリア・コーディネートサービスを始めて20年の収納&インテリアのプロでもあります。TVチャンピオン収納ダメ主婦しつけ王優勝。詳しいプロフィールはこちら

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コメント 皆様からご質問・ご意見など

  1. はるはる より:

    収納マン様

    はじめまして。
    中学生になる男の子におすすめの学習机を教えて下さい。
    設置場所は子供部屋、色は明るめ希望です。

    色々と見て回っていますが、今さらビーノなどのスタディアップデスク?、大人っぽい雰囲気のワイズもいいけど奥行きが足りない?、など、悩んでしまい決められずにいます。
    どうぞ宜しくお願いします。

    • 収納マン より:

      はるはるさま

      はじめまして^^

      ”中学生になる男の子におすすめの学習机”ですかー。
      すごく抽象的で、悩んでしまいますね~^^;

      中学生であれば一般的にはすぐに高校受験が待っているわけで、そうすると天板の奥行は65cmくらいあるとベターです。
      もはや上棚の必要性はないでしょう。

      そう考えると、候補は以下の通りです。

      ◆浜本工芸・No.09デスク
      ◆カリモク家具・ピュアナチュール

      奥行65cmというのはもはや絶滅危惧種ですので、奥行60cmであればもっと候補は増えます。

      ◆コイズミファニテック・ビーノ(通常タイプ)
      ◆イトーキ・コファーノ、ポルク、リーモ(セレクトタイプ)
      ◆ケユカ・ニノス

      スタディアップデスクは「リビングにも置ける」というコンセプトですので、今さら必要ないでしょう。
      ワイズも、奥行がちょっと短く、デザインがドンピシャではない限り、仕様としてもビーノに比べれば劣りますので、今回の場合は候補から外して良いでしょう。

      まだ全メーカー出揃ったわけではないのでまだ候補は増える可能性はありますが、奥行60cm以上のものが増える可能性は低いでしょうね。

      お気に召すものが見つかることを祈ってます^^

      • はるはる より:

        収納マン様

        お返事をありがとうございます!
        昨日、ケユカ以外全て見てきました。

        奥行き65のNo.9デスク、ピュアナチュールはサイズは良かったのですが、足の形状があまり好きではないのと、カリモクは引き出しの奥行きが浅いのも気になります。

        そこでビーノ(通常タイプ)がNo.1候補に。この場合の組み合わせについてまた相談をお願いします。
        1.105幅デスクに350幅チェストシェルフ(下段が引き出しになっている棚)
        2.120幅デスクに413幅ワゴン(机下に置く昇降機能のないもの)書棚は別で用意。

        105幅デスクにワゴンを入れると足元が狭くなるので、すぐにワゴンを外に出すことになると思い、上記2点の組み合わせを考えてみました。
        ただ、奥行き60にする場合、机幅105だと狭いでしょうか?

        宜しくお願いします。

        • 収納マン より:

          はるはるさま

          はやっ!∑(・ω・ノ)ノ
          もうご覧になられたんですね!

          ビーノが第一候補ということで、素敵なチョイスだと思います^^

          105デスクにチェストシェルフを置いた場合、トータルの幅は140cm、120デスク下にBDW-065または165のワゴンを置いた場合は同じく120cm、プラス書棚の幅となります。

          基本的に使い勝手の好み次第ですのでどちらも良いと思うのですが、個人的には120デスクの組み合わせが好みです。
          その理由は、ワゴンを引き出してL型デスクのように使うことができるからです。
          また、105デスクの組み合わせだとユニットデスクのような感じになり、特にシェルフの上のほうが取り出しにくいのと、最下段チェストに収めたファイルの向きがワゴンとは90度異なり、ちょっと収納効率が良くないからです。

          一方で、105デスクの組み合わせを選んだ場合は、両肘付きのオフィスチェアでもセットできます。
          (ただし肘がデスク本体引出しに当たる場合があります)
          足下がゆったりしていることを重視する場合は、105デスクの組み合わせが良いでしょう。

          奥行が60cmあれば105cm幅でも狭いということはありません。
          あまり大きなデスクを置くよりも、他に家具を置くゆとりを残してもらったほうが良いと思いますよ^^

          • はるはる より:

            収納マン様

            お返事をいただいたままですみません。最終的に決定したら連絡をしようと思っていたのですが、いまだ決められず。
            第一候補をビーノにしたのですが、ユーティリティプラスも良いかと思い、この2つを比べています。

            配置の候補は前回同様で、ユーティリティプラスにする場合は幅110か幅120にワゴン41cm幅を入れることになります。デスク110+ワゴンだと男子はキツイでしょうか…
            書棚をユニットのように机に垂直に置こうかと思いましたが、窓までの距離が85cmのため、書棚90cm幅は置けません。よって、ユーティリティプラスにする場合はデスク+ワゴンの組み合わせになります。(書棚は別)

            部屋が6畳のため120cm幅の机を置くと結構狭くなります。それでもそれが一番使い勝手が良いのであれば…と悩んでいます。

            ビーノとユーティリティプラス、選ぶにあたり、何か大きな違いはありますか?

  2. 収納マン より:

    はるはるさま

    悩んでますね~。
    しかし、お子さんのことを思えばこそで、とても良いことだと思います^^

    さて、カリモク家具のユーティリティプラスも候補に加わったということですが、110cm幅のデスクに幅41cmのワゴンでもまったく問題ないと思いますよ。

    110cm幅デスクに幅41cmワゴンを収めた場合、足元の幅は56.6cmとなります。
    身長178cmでやせ形の私が両膝を軽く開いた状態で幅が50cmですから、お子さんが格闘技志望でない限りは大丈夫だと思います。

    ビーノとユーティリティプラスの大きな違いは、引出しの数にあります。
    ユーティリティプラスはオプションを選ばない限り、デスク本体に引出しがありません。
    そのため収納力は少ないですが、足元はゆったりします。

    また、ワゴンもユーティリティプラスのほうが引出しが少なく、収納力は少ないです。
    ちなみに、ビーノの昇降機能なしのワゴンの奥行は49.5cm、ユーティリティプラスは600mmですので、机の横に並べた場合はユーティリティプラスのほうが奥行はピッタリ合います。
    あと、ビーノはデスク本体引出しにカギ、ユーティリティプラスはワゴンにカギという違いもあります。

    総じて、お子さんが身長180cm以上&体重80kg以上にならない限りは、ビーノでも窮屈さを感じる心配はないと思われますし、むしろ収納量を確保しやすくて良いのではないかと思います。
    ただ、105cm幅デスクでは狭いかも、120cm幅デスクでは部屋が窮屈かもと考えると微妙に難しいですよねー^^;

    • はるはる より:

      収納マン様

      何度もご丁寧にお返事を頂きありがとうございます。
      本日、ビーノ120幅デスクとビーノ昇降付ワゴンを購入しました!

      はじめは昇降なしのワゴンを考えていましたが、収納マンさんに相談してL型で使用する方法を知り、それなら高さが合っていた方が良いと思い変更しました。
      デスクの幅が120あるのでワゴンを横に並べるスペースはありませんが、L型であれば幅120のまま置けますものね。いずれパソコンを置いたり、活用できたら良いです^_^

      あとは照明(汗)
      もちろん収納マンさんのお勧めのコイズミ製にする予定です。
      机前面が壁であることを考慮しながら、ECL357かECL546にしたいと思っています。

      この度は我が家の机選びの相談に乗って頂き本当にありがとうございました!

      • 収納マン より:

        はるはるさま

        おお~っ。ビーノ120幅デスク+昇降付ワゴンで決定ですか!
        それは良かったです^^

        120cm幅のデスクにワゴンをL字型に配置すれば奥行の不足を感じることはないでしょう。
        参考書も広げ放題、ノートパソコンほかデジタルデバイスを活用しながらの勉強の際も便利ですね。

        デスクライトは壁にキズが付かないことを重視すればECL-546、シェードの位置の変更の容易さで言えばECL-357ですかね。
        特にノートパソコンを使う場合は、LEDの光が反射して眩しく感じることがあるので、シェードの位置を変えられるのは便利だと思います。

        わざわざのご報告ありがとうございました^^